概念的領域と具体的領域の行き来が実践的な概念を産み出す
私たちは、具体的領域に暮らしていますが、この領域だけではビジネスはできません。いいアイディアは頭の上の方から降ってくるものだからです。実はそこにあるのが、概念的領域です。
概念化では、具体的領域と概念的領域を行き来することが大切です。世の中を大きく動かすような概念は、いつもこの行き来から生み出されています。
「切れ者」と言われる人たちは、この行き来でものごとをとらえます。
ところが、具体的領域と概念化領域の行き来は簡単ではありません。この2つの間には、私が「思考のカオス」と呼んでいる大きな川が横たわっているからです。
たいていの人は具体的領域だけでものごとをとらえ、その世界ですべてを完結しようとします。
ごく一部の人は概念的領域だけでものごとをとらえ、具体的領域で何が起こっているのかにあまり興味がありません。
それゆえ、具体的領域に生きる人たちと概念的領域に生きる人たちは、お互いに理解し合うことができません。言葉が通じないし、相手の言葉を理解するための努力もしないからです。
ところがある日、私は、具体的領域に生きる人たちが思考のカオスを渡り、概念化領域と行き来するのを目撃しました。それは、私がはじめて提供した、概念化のための教育コースの場でした。
彼らはなぜ、思考のカオスを渡ることができたのでしょうか。
実は、そのとき彼らが演習していたのが、概念化手法の最終段階にあたる「キーワードを軸に構成された概念モデル」にコンテンツをうめる作業でした。
よくよく見ると、キーワードで構成された概念モデルの枠組みは概念的領域の産物で、中身のコンテンツは具体的領域の産物で構成されていたのです。
私はそのとき、概念化手法がもたらす革新を改めて認識しました。
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